2011/05/16

ヴァンパイアの瞳


宝石の記事じゃあありません。久しぶりに、妄想話を繰り広げます。
マスコンでブリッジポートを開いて眺めてたら、書きたくなってしまって。たまの発作です。
今回も、デフォシムを使用して勝手な設定しています。その上、百合(?)っぽい雰囲気なので、苦手な人は読まないが吉です。



Vamp-1mashu.jpg

誕生日おめでとう! エルヴィラ、君に贈り物だ。
…ヴァンパイアの瞳
宝石には興味がないって言っていたけど、これだけは違う、君は熱心なコレクターだってね。
"だった"よ。全て処分したわ。
惑ひは破れ、情熱は去りぬ、か。この石ころは持ち帰るよ。
ばかね、一度贈ったものは取り消しできないのよ。いただくわ。
いや、君にがらくたを押し付けるわけには。
そうね、それじゃあ、あなたの"美酒"をおまけに付けて頂戴。とってもおいしそう…


Vamp-2omou.jpg

ロッタ、ロッタ・グリーヴス…
この名を思い出すのは何年ぶりなのか。
私の心を苛んだ、あの灼熱の怒りの炎はとうに勢いを失い、しかしいまだ、小さな燃えさしがくすぶり続けている。
彼女はもう、この世にいないというのに。

Lotta Greaves

物心ついたときからいつも一緒で、私たちのことを長老達は、つがいのスワン、などと称した。スワンなら私が黒鳥でロッタが白鳥ね、とよく笑ったものだ。不思議なほど気が合うのに、性格も好みもまるで違っていたから。

幾度喧嘩をしたのだろう。泣きながらフラットを飛び出して行ったロッタは、数日すればけろりとした顔で戻ってきて、どこから探し出してきたのか、いつも "ヴァンパイアの瞳" を差し出すのだ。ごめんね、と。

Lotta Greaves and Elvira Slayer

うーん、ずいぶん増えたわね。エルヴィラも、いっぱしのコレクターね。
私じゃないわよ、ロッタが集めたんでしょう。でもどうしてこれ?
これ見てるとあなたを思い出しちゃうのよね。ほらあなたの瞳にそっくりよ!綺麗でしょう。


Vamp-5akogare.jpg

ロッタ。もう起きたの?
ええ、目が覚めて。見て、夕日がとても綺麗。
ふふ。太陽が死んでゆくのね、いい気味だわ。いっそ明日は蘇らねばよいのに!

夜明け直前まで二人で遊びまわって、ぐったりと就寝した日も、ロッタは陽の出ている内に起き出していた。最初は眠りが浅いせいだと思っていたのだ。けれど、そのうち、彼女は "太陽の光が" 好きなのだと知った。

私は、ぞっとした。

私たちはヴァンパイアなのだ。あの灼けつく光はヴァンパイアの身体を薪のように燃やしてしまう。恐ろしい。あんなものに魅了されるなんて、正気の沙汰とは思えなかった。


Vamp-7nagusame.jpg

エルヴィラ、私、飽いてしまったの。夜通しの乱痴気騒ぎ、お酒に音楽、狩の獲物…これが永遠に続くなんて、堪らないわ。
ばか言わないで、お楽しみは無限にあるじゃないの。感覚を研いでごらんなさいよ、新しいシムは次から次へとやってくるし、彼らの個性、彼らの恐怖、それに彼らの血! 一つとして同じものはないわ。
ハッ! 血! 血!! 食事といったらそればかり。おひさまの恵みで育つものはたくさんあるのに、どうして私たちはそのかけらも受け取ることができないの!
ああ、ロッタ…ロッタ。あなた気がたっているのね、しばらくこの町から離れましょう、どこか田舎で気分転換をするのよ、それがいいわ。


Vamp-8evy.jpg

こんにちは、エルヴィラさん?
ええと、あなたは…
ぼく、エベニーザー・クラヴィーアといいます。うわあ、やっと会えました! いつもあなた昼間は寝ているんだもの。ロッタの言ってたとおり、綺麗な方ですね!
ロッタのお友だち?
うん、僕らすごく仲良くなったんです。ロッタがお宅のクラシックコレクション聞かせてくれて、僕は代わりにガーデニングの話をするんです。僕んち、ラマ牧場やってて、空いてる農地でいろいろ育ててるから。
ガーデニングですって? まあロッタが。
そう。それで今日は贈り物持ってきたんです、明日はブリッジポートに帰られるんでしょう? 今日聞いて、慌ててとってきたから夜になっちゃって。これ、りんごの種なんですけど…。#1


旅から戻り、ロッタは一日中、嫌らしい太陽の下で過ごすようになった。

Vamp-9apple.jpg

エルヴイラ、見て。初めての収穫よ! 完璧なりんごでしょう?
りんご、ね。育ててどうするつもり? そんなもの、おいしくないわ。 #2
あら、ヒトの繊細な舌だったら、すばらしく美味だそうよ。それにこの赤、太陽の光がたっぷりあたってなければこの色は出ないのよ。
太陽、太陽って、もう止めて頂戴! あなたの肌、ボロボロじゃないの!! 


Vamp-10shurick.jpg

ヴラッド。どうしたらいいの? ロッタは日ごとに弱っていくのよ。なのにあの子の目は輝きを増してゆく。私、とても恐ろしくて。
くくっ、あなたが相談事だなんて、僕のほうが恐ろしいよ! 
ウラジミール・シュリック、にやにや笑いをすぐひっこめないと、その恐怖が現実になるわよ。
…あ、失礼。しかしロッタがまともな生活を送れていないなんて、こんなことは長老たちに聞かせられないな。早くなんとかしなくては、あなたの評判にまで影響してしまう。 #3


Vamp-11a.jpg Vamp-11b.jpg
Vamp-11c.jpg Vamp-11d.jpg

ロッタ、ロッタ!! 何をしたの!!!
ヒトになったのよ、エルヴィラ。ヴァンパイアという病を治す奇跡の薬。飲んだのよ、私。
あなた、なんてことを!! なんておぞましい!!! 
治ったのよ、もう太陽に焼かれることはないし、りんごの味だって分かるのよ。
ヴァンパイアの強い力と心を、あなたは捨ててしまったのよ! あなたはもう私のロッタじゃないんだわ!
私は私よ、あなたへのこの気持ちも変わらないわ。
おお、気持ちの悪い! ヒトなどと一緒に暮らすことなんてできないわ!! 出て行って! #4

Vamp-12.jpg

ロッタは出て行き、そして、二度とヴァンパイアの瞳をもって戻ってくることはなかった。
私が知ったのは、彼女が当時、血清501にあった倉庫ごと、焼死したこと。 #5
ヴァンパイア仲間は、私が怒りのあまり彼女に制裁を加えたのだと噂して、私を恐れた。
行き先を知っていれば、ほんとうに私が手をかけていたのかもしれない。
彼女のうらぎりは、私をかつてなく苦しめた。あの長い年月、言葉では言い表せぬほど、深いきずなで結ばれていたのだから。



大人っぽい文章で書こうとして、変になってるのはお笑いで。私にはこれが精一杯。
#1 ロッタは生前、エベニーザーの故郷に旅をし、子供だった彼と友だちになった。
#2 ヴァンパイアは普通の食事もできるけど、味を感じることができないってことにしましたが、ゲーム上ではちゃんと味が分かるみたいです。
#3 シュリックは、この問題の解決策を彼なりに実行します。
#4 大喧嘩になって、二人は敵同士になった。
#5 行くところのないロッタは、空倉庫に住み着いて、そこで焼死。焼け焦げた倉庫は解体されたということにしました。

ロッタ・グリーヴスは、血清501の区画内にある墓の幽霊です。立派な墓なので、生前は、幸福ポイントがいっぱい溜まる幸せな生活を送っていたみたいなのに、名前はとっても哀しそうな美人シム。生き返らせると、エベニーザーとシュリックが友だち、エルヴイラとは敵同士です。スキルは唯一、ガーデニングを持ってました。
BPの幽霊は、生き返らせても皆青い肌になっちゃってて、生前の肌や髪の色が分からないんですよねー。ロッタのグレーの髪と白い肌は、想像です。
左薬指に指輪がはまっているので、誰かと婚約していたのかもしれません。婚約者をエルヴィラに盗られて、失意の中、死亡したとか。でもこの二人の間にたてそうな婚約者が思いつかず、こんな話になりました。

長文、読んでくださってありがとうございました。